2013年8月29日木曜日

売買契約成立後に売主が死亡した場合の所有権移転登記の方法

相続人(売主)A    被相続人B、C   買主D

Q. A死亡後に不動産の名義をDに移す方法は?



①A → B、C → D(所有権の変遷)

  このように、いったんB、Cに相続を原因とする移転登記してから、
  Dへ移転すればよいか?
  
  ★Dの代金支払い前にAが死亡した場合には、
   所有権がDへ完全に移転する前であるから、Aは依然として当該不動産を所有する。
   A所有の土地をB、Cへ相続を原因とする移転登記を経て、
   B、CとD間の売買によりDへ移転する。


②A→D(所有権の変遷)

 「真正な登記名義の回復」 「錯誤」 等を原因とする移転は可能?

 錯誤 を原因とする登記は、抹消登記や更生登記のみ。
 真正な登記名義の回復 は、錯誤により抹消をすることが困難(前の所有者が非協力的など)
 な場合に移転の原因となる。
 今回は、いずれも、「誤って別の者を名義人として登記してしまった」という場合
 ではないので(錯誤が想定される場合ではないので)登記原因とはならない。


③A→D(所有権の変遷)

 ★Dの代金支払い後にAが死亡した場合には、
  所有権はAからDに移転しており、あとは登記をするだけ、という状況であったわけだから、
  B、CがAの売主としての地位を相続し、B、C、Dの共同申請により
  AからDへの所有権移転が可能。


◆◆コメント
まず②は今回想定される場合でないから除外するとして、
①は2回登記しなければならないのに対して③は1回で済むので、
最終的な権利の様態が変わらないのであれば③を採用したいところ。(節約の意味で)

支払の前、後と書いたけれど、つまるところ、
<所有権が完全に買主へ移転したのかしていないのか>
<登記という単なる手続きがのみを残して死亡したかどうか>が問題である。

相続人と買主Dとの間に、Dへ所有権移転することについて争いがないのであれば、
無駄にDへの登記のハードルを上げる(登記回数を増やす)必要はない。
③の登記の添付書面のAの権利証ほか、相続に必要なものがあれば揃うし
この場合の手続きは容易と言える。

しかしもし相続人が不本意ならば、
所有権が完全に移転していないことを主張して争えばよい。

ただ善意の第三者に対しての公信力として、支払前、後、みたいな客観的な指針が
必要なのかな。いや、公信力とまでは言えないか。。。










 

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