2015年10月21日水曜日

権利能力なき社団、契約解除、債務不履行

先日受けた相談内容について


【 概要 】

甲 趣味を同じくする人が集って結成した文芸誌『S』を主宰する。
  『S』は会費をつのっている。

乙 『S』に会費を支払い所属している。

甲と乙の仲のこじれにより、
甲が乙を『S』から退会させたいと思っている。
このとき、どのような手段をとりうるか?



★1★ そもそもSは法主体となりうるか

   ~法人・権利能力なき社団・組合


まず、文芸誌『S』は
法律上法人格を付与されない(株式会社や医療法人といった法人ではない)が、
法人格に匹敵する実態を持つので(仮定)
組合か、あるいは、権利能力なき社団 に該当する。

http://www.higashimachi.jp/column/topics68.html

『S』について、
実態に基づいて組合権利能力なき社団とのどちらに該当するか判断していく。(むずいなあ)
(後日両者の違いについて検討する)

http://hyogo-nourinsuisangc.jp/chuo/hukyu/02keieikouza/01kumiaidantai/kumiai-syadan.pdf


いずれにしても、甲は契約当事者となることができる。
(※ 権利能力なき、とは言っても、「社団法人」に準じたとり扱いとなる
   法定の法人でないという意味での「権利能力なき」ととらえるべきか    )

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11128040831



Sは主体たりえるのである


★2★

では、次にSと乙との関係について整理していく。

そのためには、乙が支払っている会費の性質について検討する必要がある。

パターン①
  Sは乙と双務契約を締結している。
  Sは乙を参加させる義務を負い、
  乙は会費を支払う義務を負う。

  この契約が合意解除されるならば、
  Sの受け取った乙からの会費は不当利得となるので、返還する必要性がある
  
  このとき、もし仮に、乙がやめたくないと主張し、
  Sは無理矢理除名させた場合に、
  Sは上記双務契約の義務違反(債務不履行)となる。
  これについて、
  乙から責任追及をされた場合、
  (1)Sは自らの無過失を立証して損害賠償を免れる
  (2)乙の過失を立証することによる過失相殺により損害賠償を免れることができる


パターン②
  乙はSに対して設立に際しての出資という意味で会費を支払う。
  この金銭は、権利能力なき社団であれば、総有状態といえる。
  総有では、共有持分の観念がないため、共有持分の払い戻しは出来ない。 
  但し、構成員全員の合意により、共有持分を確定させたうえで解散することはできる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%A9%E5%88%A9%E8%83%BD%E5%8A%9B%E3%81%AA%E3%81%8D%E7%A4%BE%E5%9B%A3




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